家庭菜園でキュウリを育てていると、突然葉に斑点が現れて枯れてしまうような経験はありませんか。
これは、土壌に潜む病原菌が雨水や灌水で飛び散り、葉や茎に付着することで起こる「泥跳ね(どろはね)」による病気感染が原因の一つです。
特に日本の梅雨から夏にかけての高温多湿な環境は、うどんこ病やべと病、疫病などの発生を促進し、一度蔓延すると収穫量を大幅に低下させることもあります。
そこで注目したいのが、黒マルチを使った栽培法です。
黒マルチは地面を覆うことで、以下の効果が期待できます。
- 雨水や灌水の勢いを和らげ、土壌からの泥跳ねを物理的に防ぐ
- 土壌温度の上昇を促し、キュウリの生育に適した環境を作る
- 雑草の発生を抑え、病害虫の寄る場所を減らす
- 土壌水分の蒸発を防ぎ、安定した根の環境を保つ
もちろん、黒マルチだけで全ての病気を防げるわけではありません。
適切な株間距離の確保、下部葉の摘み取りによる通風改善、そして朝のうちの葉水切れを意識した灌水など、総合的な管理が重要です。
本記事では、黒マルチを使った泥跳ね防止のメカニズムから、家庭菜園で実践しやすいキュウリの病害虫対策の基礎知識まで、具体的に解説していきます。
初心者の方も経験者の方も、ぜひ参考にして、元気なキュウリを収穫してください。
キュウリが枯れる原因とは?泥跳ねと病害の関係を知る

家庭菜園でキュウリを育てていると、元気に伸びていたはずの蔓が突然萎れ、葉に斑点やカビが生えて枯れてしまうことがあります。
これらの症状は、一見すると「暑さのせい」や「水不足」かのように見えますが、実は土壌に潜む病原菌が原因であることが少なくありません。
特に日本の梅雨から夏にかけての高温多湿な気候は、病原菌の繁殖と感染を加速させ、一瞬の油断で収穫期を迎える前に壊滅させてしまうこともあります。
泥跳ねが病害の感染経路となる
泥跳ねとは、雨や灌水の水滴が地面に落ちた際に、土壌の表面をはね返り、葉や茎に付着する現象です。
一見、些細なことのように思えますが、ここに大きな問題が潜んでいます。
土壌の中には、うどんこ病、べと病、疫病などの病原菌が休眠状態で存在しており、雨水や灌水の勢いによってこれらが飛び散り、植物体に付着することで感染が始まるのです。
キュウリの葉は広く平らな形状をしており、泥跳ねした水滴が受け止めやすい構造になっています。
そのため、特に下位葉や茎の基部付近は感染のリスクが高く、一度感染が始まると上部へと順次広がっていきます。
主な病気とその特徴
家庭菜園でよく見られるキュウリの病気には、以下のようなものがあります。
- うどんこ病:葉の表面に白い粉のようなカビが生え、次第に葉が黄化して枯れる。高温乾燥と多湿を繰り返す環境で発生しやすい
- べと病:葉の裏面に黒いカビが生え、表面には黄色い斑点が現れる。湿気の多い時期に急速に広がる
- 疫病:茎や葉柄が水浸状になり、やがて萎凋して倒れる。土壌伝染性が強く、一度発生すると防除が困難
これらの病気は、単独で発生することもあれば、複合的に進行することもあります。
特に疫病は土壌に長期間残存する性質があるため、同じ場所で連作を続けるとリスクが高まります。
環境要因と栽培管理の影響
泥跳ねによる病害感染は、栽培環境や管理方法によって大きく左右されます。
例えば、以下のような状況は感染を促進させます。
- 密植による通風不良で葉が長時間濡れた状態が続く
- 夕方や夜間の灌水で、朝まで葉に水滴が残る
- 畝の高さが低く、排水性が悪い場所での栽培
- 病気になった葉や茎をそのままにしておき、感染源を放置する
これらはいずれも、病原菌が繁殖しやすい湿潤環境を作り出してしまう要因です。
したがって、泥跳ねを防ぐことはもちろん、葉の乾燥を促す環境づくりも同時に行う必要があります。
予防が最も重要な対策
キュウリの病気は、一度発症してからの治療は難しく、有効な農薬があっても家庭菜園では使用を控えたいという方も多いでしょう。
そのため、予防が最も効果的な対策となります。
泥跳ねを防ぐ手段として、マルチングは最も手軽で効果的な方法の一つです。
特に黒マルチは、土壌表面を覆うことで泥跳ねそのものを物理的に遮断し、さらに土壌温度の上昇や雑草抑制といった副次効果も期待できます。
次章では、この黒マルチを使った栽培法の具体的なメリットと、家庭菜園で実践する際のポイントについて解説していきます。
黒マルチとは?家庭菜園で使う土壌カバー材の基礎知識

黒マルチは、ポリエチレン製のフィルム状の土壌カバー材で、畑の表面に敷くことで様々な効果を発揮する農業資材です。
家庭菜園でも100均やホームセンターで手軽に購入でき、初心者でも比較的簡単に導入できる点が魅力です。
色は黒の他に銀、透明、白などがありますが、キュウリ栽培においては黒マルチが最も適しています。
その理由は、黒色が持つ光の吸収特性と、それに伴う土壌環境の変化にあります。
黒マルチの厚さは通常0.02mm程度のものから、耐久性を重視した0.05mm以上のものまであります。
家庭菜園で一季節使うのであれば、比較的薄手でコストパフォーマンスの良いもので十分です。
幅は90cmや120cm、150cmなどが一般的で、畝の幅に合わせて選ぶと良いでしょう。
泥跳ね防止のメカニズム
黒マルチの最も直接的な効果は、泥跳ねの物理的な防止です。
土壌表面を完全に覆うことで、雨水や灌水の水滴が直接土に当たるのを防ぎます。
これにより、土壌に潜む病原菌が水滴に乗って飛び散る経路が遮断され、キュウリの葉や茎への感染リスクを大幅に減らすことができます。
特に梅雨時期の激しい雨や、夏場のスプリンクラーによる灌水時には、泥跳ねの勢いが強くなります。
黒マルチを敷いていない畑では、1回の降雨で土壌表面の病原菌が広範囲に飛散し、全株に感染の可能性が生じます。
一方、マルチを敷いた畑では、水滴はマルチ表面を伝って畝の横に流れ落ち、植物体への付着が最小限に抑えられます。
また、黒マルチは降雨後も土壌表面が直接濡れにくいため、病原菌が繁殖しやすい湿潤状態の土壌表面を作りにくいという利点もあります。
これは、土壌伝染性の病気に対する予防効果を高める重要な要素です。
土壌温度上昇による生育促進効果
黒マルチのもう一つの大きな特徴は、土壌温度の上昇を促す点です。
黒色は太陽光を効率的に吸収し、その熱を土壌に伝える性質があります。
春先から初夏にかけて、黒マルチを敷いた畝の土壌温度は、裸地に比べて2〜3度高くなることがあります。
キュウリはウリ科の植物で、土壌温度が25℃前後になると根の活動が活発になり、養分吸収や水分吸収がスムーズに行われます。
特に定植直後の苗は、根がまだ十分に張っていないため、土壌温度が低いと生育が遅れ、病気にかかりやすい状態になってしまいます。
黒マルチによる地温上昇は、この定植後の早期生育を促し、健全な株を育てる土台を作ります。
ただし、真夏の高温期には土壌温度が上がりすぎることがあります。
その場合は、マルチの上にわらや刈り草を被覆する「被覆マルチ」として活用するか、銀黒マルチの黒面を下にして銀面を上にするなどの工夫が有効です。
雑草抑制と病害虫管理の相乗効果
黒マルチは光を遮断するため、マルチの下では雑草の発芽と生育をほぼ完全に抑えることができます。
これは見た目の美しさだけでなく、病害虫管理においても重要な意味を持ちます。
雑草が生えている畑では、以下のような問題が生じやすくなります。
- 雑草が病原菌の宿主となり、感染源を増やす
- 害虫の隠れ家や繁殖場所となり、防除が困難になる
- 通風を悪くし、湿気を溜めて病気を促進させる
- キュウリとの養分競争で生育が弱る
黒マルチを使うことで、これらのリスクを一括して減らすことができます。
特にアブラムシやウリハムシなどの害虫は、雑草を介して畑に侵入しやすいため、雑草を徹底的に排除することは害虫対策の基本となります。
さらに、雑草がないことで畑の管理作業が格段に楽になり、日々の観察時間を増やせます。
病気の初期症状や害虫の発生に気づきやすくなり、早期対処が可能になるという点も、黒マルチ栽培の大きな利点と言えるでしょう。
黒マルチを使ったキュウリ栽培の実践手順

黒マルチを使ったキュウリ栽培は、準備さえ整えばその後の管理が驚くほど楽になります。
ただし、最初の畝作りとマルチ敷きの段階で手を抜くと、後々大きな問題を招くこともあります。
ここでは、家庭菜園の規模でも実践できる、黒マルチを使ったキュウリ栽培の具体的な手順を解説します。
畝作りとマルチ敷きのポイント
まず、畑の土を耕し、肥料を混ぜ込んだら、キュウリに適した畝を作ります。
キュウリは根の呼吸を好むため、高畝(たかうね)栽培が推奨されます。
畝の高さは15〜20cm程度、幅は60〜80cm程度にすると、排水性が良くなり、根の張りも良好です。
畝ができたら、黒マルチを被せていきます。
マルチの幅は畝の幅より少し広めのものを選び、畝の頂部から両サイドに垂らすように敷きます。
ポイントは、マルチを土と密着させ、風でめくれないようにすることです。
畝の両脇には土をかぶせ、さらに畝の長手方向にも30〜50cm間隔で土の重しを置くと安心です。
マルチを敷く前に、畝の表面を軽く整えておくことも大切です。
石や土塊が残っていると、マルチが傷ついたり風に煽られやすくなります。
また、マルチを敷く前に十分に灌水して土壌水分を補っておくと、定植後の根の吸水がスムーズになります。
植え付け時期と株間距離の設定
キュウリの植え付け時期は、地域によりますが、最低気温が10℃を超え、霜の心配がなくなった頃が目安です。
関東以西では4月下旬から5月上旬、東北や北海道では5月下旬から6月上旬が一般的です。
黒マルチを使えば地温が上がるため、裸地栽培よりも1〜2週間早めの定植が可能になることもあります。
株間距離は、品種や栽培方法にもよりますが、50〜60cm程度が適しています。
キュウリは蔓性植物で、葉も大きく広がるため、密植すると通風不良になり病気のリスクが高まります。
一方、間隔を広げすぎると収穫効率が落ち、畑のスペースを有効に使えません。
マルチに植え穴を開ける際は、穴の大きさが苗の根鉢より少し大きめになるようにします。
直径10cm程度の十字切りを入れ、土を少しずつ掘り起こして穴を作ります。
苗を植え付けたら、根元の土を軽く押さえ、最後に植え穴の周りをマルチで覆い直すように土を戻します。
これにより、マルチの効果が損なわれず、雑草が穴から生えるのも防ぎやすくなります。
マルチ穴からの雑草対策と管理
黒マルチは雑草抑制効果が高いものの、植え穴の周りやマルチの端から雑草が生えることはあります。
特に定植後1〜2週間は、マルチがまだ完全に土と馴染んでおらず、光が漏れやすい状態です。
対策としては、定期的な巡回と手摘みが最も確実です。
週に1〜2回、畑を歩き回り、植え穴周りに生えた雑草を早めに除去しましょう。
雑草が小さいうちに抜くと、根が浅くて簡単に取れ、キュウリの根への影響も最小限に抑えられます。
また、マルチの破れや風での浮きがないかも確認してください。
マルチが浮くと、下から光が入り雑草が生えやすくなるだけでなく、泥跳ね防止の効果も半減します。
風害が心配な場合は、畝の両端に竹串や支柱を打ち込み、マルチを固定すると良いでしょう。
追肥の際も、マルチの上に置くのではなく、植え穴の脇に少し溝を掘って肥料を入れ、土で覆うようにします。
これにより、肥料の効率が上がり、マルチの破損も防げます。
黒マルチ栽培は、こうした細かい管理の積み重ねで、本来の効果を最大限に発揮します。
黒マルチと併せて行いたい病害虫対策

黒マルチは泥跳ね防止に優れた効果を持ちますが、それだけでキュウリの病気を完全に防ぐことはできません。
病害虫対策は、複数の手段を組み合わせる「総合的病害虫管理」のアプローチが基本です。
ここでは、黒マルチと併せて実践したい、家庭菜園で取り組みやすい対策を解説します。
下部葉の摘み取りで通風を良くする
キュウリは成長すると下位葉が茂り、株の内部が蒸れやすくなります。
この状態は、病原菌にとって最も繁殖しやすい環境です。
そのため、下部葉の適切な摘み取りは通風改善と病害予防に非常に有効です。
具体的には、蔓の基部から数えて3〜4節目までの葉を、生育初期から順次摘み取っていきます。
これにより、株の内部に風が通りやすくなり、葉の濡れが早く乾きます。
また、下部葉は泥跳ねの影響を受けやすく、病気の発生リスクが高いため、予防的に取り除くことで感染源を減らす効果も期待できます。
摘み取る際は、葉柄の付け根からきれいに切り、株に傷を残さないようにします。
切り口から病原菌が侵入するリスクを減らすため、晴れた日の午前中に行うのが理想的です。
摘み取った葉は、畑に放置せず、必ず持ち出して処分してください。
病気の兆候が見られる葉は、特に注意が必要です。
朝の灌水と葉水切れを意識した水やり
水やりのタイミングと方法は、病気の発生に大きく関わります。
特に重要なのは、朝のうちに灌水を済ませ、夕方までに葉が乾くようにすることです。
これを「葉水切れ」と呼びます。
夕方や夜間に水やりをすると、葉に水滴が残ったまま夜を迎え、湿気の多い環境が長時間続きます。
これはうどんこ病やべと病の発生を促進する典型的な条件です。
黒マルチを使っていても、葉面が濡れた状態が続けば病気のリスクは高まります。
灌水の量は、土壌が乾き気味になったらたっぷりと与え、それ以外は控えめにするのが基本です。
黒マルチは蒸発を防ぐため、裸地栽培よりも灌水回数を減らせます。
土壌の状態を確認しながら、根元に直接水を与えるように心がけましょう。
スプリンクラーや上からの散水は、葉を濡らすためできるだけ避け、点滴灌漑や根元へのじょうろがけが望ましいです。
適切な摘芯と誘引で病害を防ぐ
キュウリは放任栽培でも実をつけますが、適切な摘芯と誘引を行うことで、通風と光の当たり方が改善し、病害の発生を抑えることができます。
誘引には、支柱やトンネル状のネットを使います。
蔓を地面に這わせるよりも、空中に誘引した方が葉が重なりにくく、乾きやすい環境を作れます。
特に雨の多い時期には、地面に近い実や葉が土に触れて病気になりやすいため、誘引は有効な予防策となります。
摘芯は、主枝の先端を摘むことで、養分を実の肥大に回し、同時に株の過度な繁茂を防ぎます。
摘芯のタイミングは、主枝が誘引ネットの上部に達した頃が目安です。
側枝についても、適度な長さで摘芯を繰り返すことで、葉の密度を調整できます。
誘引と摘芯を組み合わせることで、株全体がバランス良く育ち、黒マルチによる泥跳ね防止効果と相まって、より健全なキュウリ栽培が実現します。
日々の観察を欠かさず、葉の色や姿勢に変化がないか確認しながら管理を進めてください。
キュウリの主な病気とその予防法

黒マルチを使った栽培で泥跳ねは防げますが、空気感染や害虫を介した感染など、他の経路で病気が入ってくることもあります。
ここでは、家庭菜園で特に注意すべきキュウリの代表的な病気と、それぞれの予防法について解説します。
病気の特徴を知り、早期発見と適切な対処ができるようになることが、収穫を守る第一歩です。
うどんこ病の発生と対策
うどんこ病は、キュウリ栽培で最も有名な病気の一つです。
葉や茎、実の表面に白い粉のようなカビが生え、次第に葉が黄化して枯れていきます。
病原菌は空気中を飛散して感染するため、黒マルチを敷いていても完全には防げません。
発生しやすい条件は、昼間が高温で乾燥し、夜間が涼しく湿気の多い環境です。
夏場の天候の変動が激しい時期に特に注意が必要です。
予防法としては、以下の点が重要です。
- 通風を良くし、株の内部の湿気を逃がす
- 朝のうちに灌水を済ませ、葉が夜までに乾くようにする
- 発病した葉は早めに摘み取り、畑外で処分する
- 過度の窒素肥料を避け、葉の柔らかい成長を防ぐ
発症が見られた場合、重曹水や牛乳希釈液を葉面に散布する民間療法も知られていますが、効果には個人差があります。
早期発見と葉の除去が最も確実な対策です。
べと病の症状と予防
べと病は、葉の裏面に黒いカビが生え、表面には黄色い不規則な斑点が現れる病気です。
カビの部分を指でこすれば、黒い汚れがつくのが特徴です。
うどんこ病と異なり、べと病は湿度が高い環境で急速に広がります。
この病気は、害虫の排泄物や植物の分泌物を栄養源とする「煤病菌」が原因です。
そのため、アブラムシやカイガラムシなどの害虫駆除も、べと病予防の重要な要素となります。
害虫を減らせば、べと病の発生リスクも大幅に低下します。
予防法としては、うどんこ病と同様に通風と適切な灌水が基本です。
加えて、害虫の発生を日頃からチェックし、早期に駆除する習慣をつけることが求められます。
黒マルチによる雑草抑制は、害虫の隠れ家を減らす効果もあるため、間接的にべと病予防にも寄与します。
疫病の特徴と土壌管理
疫病は、キュウリ栽培において最も恐れられる病気の一つです。
茎の基部や根元が水浸状になり、褐色に変色し、やがて急速に萎凋して倒れます。
土壌に潜む病原菌によるもので、黒マルチによる泥跳ね防止が最も効果を発揮する病気でもあります。
疫病の病原菌は土壌に長期間生存し、同じ場所での連作で増加します。
そのため、予防の基本は土壌管理にあります。
以下の対策が有効です。
- 黒マルチで泥跳ねを防ぎ、病原菌の飛散を遮断する
- 高畝栽培で排水性を良くし、根元の湿潤を避ける
- 連作を避け、3〜4年の輪作を行う
- 土壌消毒や有機物の適切な施用で土壌環境を改善する
疫病は一度発生すると防除が極めて困難です。
家庭菜園では有効な薬剤も限られるため、予防が何より重要となります。
黒マルチを使った泥跳ね防止と、適切な畝作り、そして輪作を組み合わせることで、発生リスクを大幅に減らすことができます。
これらの病気は、それぞれ発生時期や条件が異なりますが、共通して言えるのは「日々の観察を怠らないこと」です。
朝の巡回で葉の色や姿勢に変化がないか確認し、異常を感じたら即座に対処する。
この習慣が、病気からキュウリを守る最も確実な方法です。
黒マルチ栽培の注意点と失敗しないコツ

黒マルチは多くのメリットを持つ一方、使い方を誤ると逆効果になることもあります。
特に家庭菜園では、知識や経験の差で思わぬ失敗を招くことがあります。
ここでは、黒マルチ栽培で陥りやすいトラブルと、その対処法について解説します。
事前に知っておくことで、より確実な栽培管理が実現します。
夏の高温時の熱害対策
黒マルチは太陽光を吸収して土壌温度を上げる性質がありますが、これは春先や初夏には有利に働きます。
しかし、真夏の高温期には、土壌温度が40℃近くまで上昇し、根に熱害を与えることがあります。
根が傷むと、水分や養分の吸収が滞り、株全体が衰弱して病気にかかりやすくなります。
対策としては、以下の方法が有効です。
- マルチの上にわらや刈り草、稲わらなどを被覆し、直射日光を遮る
- 銀黒マルチを使用し、銀面を上にして反射効果を活かす
- 夕方に軽く灌水し、土壌の顕熱を和らげる
- 遮光ネットを架設し、気温自体を下げる
特にプランター栽培の場合、土壌の体積が小さいため温度変動が激しくなりやすいです。
容器の外側にアルミシートを巻くなどの工夫も、熱害防止に役立ちます。
日々の土壌温度を手で触って確認し、熱すぎると感じたら対策を講じる習慣をつけましょう。
マルチの破れや浮きへの対処法
黒マルチは風や動物の足跡、管理作業の摩擦などで破れたり、端が浮いたりすることがあります。
破れが生じると、その部分から光が入り雑草が生えやすくなり、泥跳ね防止の効果も低下します。
マルチが破れた場合は、ビニールテープや専用の補修テープで貼り合わせるか、上から別のマルチの切れ端を被せて土で押さえます。
小さな穴であれば、それほど問題になりませんが、大きな破れは早めに対処してください。
端が浮いた場合は、土の重しを追加するか、U字ピンや竹串で地面に固定します。
台風や強風の前には、あらかじめマルチの状態を点検し、弱い部分を補強しておくと安心です。
長期栽培では、マルチの劣化も進むため、シーズン途中で張り替えることも検討に値します。
収穫後のマルチ処理と土壌への配慮
キュウリの収穫が終わったら、黒マルチの処理が待っています。
使い捨てのポリエチレン製マルチは、畑に埋めたり燃やしたりせず、きれいに回収して廃棄してください。
近年では、微生物によって分解されるバイオマルチも市販されていますが、家庭菜園用の一般的な黒マルチは分解されません。
マルチを撤去した後は、土壌を耕して有機物を混ぜ込み、次の作物に備えます。
黒マルチを使っていた期間、土壌表面は光を遮断されていたため、土壌生物の活動がやや抑えられている可能性があります。
有機質肥料や堆肥を十分に施用し、土壌の生物活性を回復させることが大切です。
また、同じ場所でのキュウリの連作は、土壌に病原菌が蓄積する原因となります。
次のシーズンは別の科の作物、例えばナス科やマメ科の野菜を植える輪作を計画してください。
黒マルチは便利な資材ですが、土壌の健康を長期的に維持するための栽培管理と併せて使うことで、真の価値を発揮します。
黒マルチを使えば、泥跳ねからキュウリを守って豊作を目指せる

本記事を通じて、黒マルチを使ったキュウリ栽培のメリットと、それを活かすための管理のポイントについて解説してきました。
家庭菜園でキュウリを育てる際、病気による枯死は最も避けたい事態の一つです。
特に梅雨から夏にかけての高温多湿な日本の気候は、うどんこ病やべと病、疫病といった土壌伝染性の病気を活発化させ、一瞬の油断で収穫期を迎える前に壊滅させてしまうこともあります。
そんな中で、黒マルチは非常に手軽かつ効果的な予防手段となります。
土壌表面を覆うことで、雨水や灌水による泥跳ねを物理的に遮断し、病原菌が葉や茎に付着する経路を断ち切ります。
これは、特に疫病のような土壌伝染性の強い病気に対して、最も確実な防御策と言えるでしょう。
同時に、土壌温度の上昇による生育促進、雑草抑制による害虫管理の相乗効果、そして水分保持による安定した根の環境づくりといった、泥跳ね防止以外の利点も享受できます。
ただし、黒マルチを敷いたからといって全ての病気が防げるわけではありません。
うどんこ病のような空気感染する病気や、アブラムシを介して広がるべと病などは、別の対策が必要です。
そのため、黒マルチはあくまで総合的病害虫管理の一環として位置づけ、以下のような基本的管理と組み合わせることが重要です。
- 下部葉の摘み取りによる通風改善と感染源の除去
- 朝の灌水と葉水切れを意識した適切な水やり
- 支柱やネットを使った誘引と摘芯による株の整理
- 日々の観察を欠かさず、早期発見と早期対処を徹底する
これらはいずれも、家庭菜園の規模であれば特別な機器や高価な資材を使わずに実践できることです。
むしろ、栽培者の目と手、そして継続的な関心が最も重要な資源となります。
また、黒マルチ栽培では夏の高温時の熱害対策や、マルチの破れ・浮きへの対処、収穫後の適切な処理といった注意点もあります。
これらを事前に理解し、トラブルが起きたときに冷静に対応できる準備をしておくことで、マルチの効果を最大限に引き出せます。
キュウリは比較的育てやすい野菜ですが、病気に対しては繊細な一面も持っています。
黒マルチを導入し、土壌からの泥跳ねを防ぐ環境を整え、適切な栽培管理を行うことで、元気な緑の葉と、瑞々しい実をたくさん収穫できるはずです。
初心者の方も、ぜひこの機会に黒マルチ栽培に挑戦してみてください。
畑の準備から収穫までの過程は、確かな手応えと、野菜作りの深い楽しさを味わえることでしょう。
最後に、農業は自然と対話する営みです。
同じ方法でも、年によって天候が異なり、土壌の状態も変わります。
本記事で紹介した知識を基にしながらも、ご自身の畑の様子をよく観察し、柔軟に対応していく姿勢が大切です。
黒マルチを味方につけて、今年の夏は充実したキュウリ栽培を楽しんでください。


コメント